東京での追加調査その2
漏洩元になってしまった会社では、社内調査をして犯人を捜していたようですが、女性が自ら名乗り出たために、結局調査は中断していたようです。改めて残されているログを見させてもらったのですが、システムログにしろアクセスログにしろ、証拠としてはちょっと弱いものしか無さそうでした。
同時に女性のPCのハードディスクイメージの解析をさらに進めていたのですが、その方面から少しネタが出てきました。バイナリイメージを再現してみるとなかなか怪しい動きをするソフトウエアが仕込まれていたようで、レジストリも汚染されていたようです。バイナリイメージを詳しく調べてみると、どうやら遠隔指定したファイルを送出する機能を持っているプログラムのようです。とはいえ、どのファイルを送出したのかなどはわからないのですが。
解析した結果、とあるパケットに反応するようになっていたので、不完全な指令パケットを周辺のネットワークにプローブしてみると、顧客情報を取り扱う部署のネットワーク内のPCほとんどが反応してきました。
これはどうも怪しいようです(笑)。もう少し材料を仕入れれば、何とかなるかもしれません。
時系列での整理
前日の整理に追記しました。
- http://d.hatena.ne.jp/Detective/20041013#p1
- 失踪人探しの依頼。部屋に残されていたPCの調査を開始する
- http://d.hatena.ne.jp/Detective/20041018
- 最初の札幌出張。時計台などを頼りに失踪した女性を捜すが、時計台前で発見。尾行し、現在居住しているとおぼしきところを見つける
- ご家族に連絡、合流して女性に引き合わせる
- 帰宅を説得するが、拒否。情報漏洩についても事情は聞き出せず
- 追加調査のためいったん東京へ戻ることにし、両親に女性のフォローを頼む
- http://d.hatena.ne.jp/Detective/20041029#p2
- 東京で社長の御曹司(女性の上司)と面会、「女性の潔白の証明」を依頼されてしまう
東京での追加調査
東京では早速、写真の男性である社長の御曹司と面会しました。男性は女性が漏洩させたということが「信じられない」と繰り返し言われていました。「できることなら彼女の潔白を証明して欲しい」とのことでしたので、失踪人探しからはどんどん離れていってしまうようですがそちらの調査も引き受けることにしました*1。
そもそも「漏洩」があったという事実と、その犯人が彼女である、と(少なくとも)論証した証拠は何か、というあたりを男性から聞いてみると、どうも調査は内部調査に過ぎず、システムログレベルの記録、それも単一の記録などを援用して論証しようとしていたようです。しかし、記録そのものが不完全な部分が多く、結局「犯人」を突き止めることはできなかったとのことでした。となると、社会的責任と信頼回復という面で会社は大きなダメージになってしまうわけなのですが、タイミング良く(?)彼女が「わたしが漏洩させました」と言い出した、というのが経過だったようでした。
とりあえず手がかりとして、女性がもともと会社内で使用していたPCを調査することになり、(上司でもある)御曹司の許可をいただいてハードディスクイメージをコピーして持ち帰りました。
時系列での整理
前日の整理に追記しました。
- http://d.hatena.ne.jp/Detective/20041013#p1
- 失踪人探しの依頼。部屋に残されていたPCの調査を開始する
- http://d.hatena.ne.jp/Detective/20041018
- 最初の札幌出張。時計台などを頼りに失踪した女性を捜すが、時計台前で発見。尾行し、現在居住しているとおぼしきところを見つける
- ご家族に連絡、合流して女性に引き合わせる
- 帰宅を説得するが、拒否。情報漏洩についても事情は聞き出せず
- 追加調査のためいったん東京へ戻ることにし、両親に女性のフォローを頼む
待機し、引き合わせ
ご家族の方、ご両親が翌日すぐにいらっしゃいました。ご家族の意志を確認したうえで、お引き合わせすることなり、女性が今住んでいると思われるところの近所まで案内しました。喫茶店に待機していただいた上で、女性を訪問して趣旨を説明し、ご家族が会いたがっているということをお話ししたら黙ったまま出てきてくれたので、そのまま喫茶店で引き合わせ。
ご両親はすでに情報漏洩とか懲戒解雇の件を承知されていたので、「やったのか?」「やってないわよね」などと聞き出そうとしますが、その件については女性は一切語ろうとしません。写真に写っていた男性についても口を閉ざしたまま。ただ、家に戻ってこられるのか?とか自宅はどうするのか?という問いにのみ、「今はまだ戻れない」と答えるだけでした。
何かよほどの事情があると思えます。
そこでいったん場所を変えてご両親には席を外してもらい、写真に写っていた男性について調べておいたことを話しました。
- 女性のPCのわずかな痕跡からメールアドレスなどを割り出し、身元を調べたこと
- 男性は女性が勤める会社の社長の御曹司で、女性と同じプロジェクトでシステム開発を手がけていること(そのプロジェクトのリーダーが男性)
しかし、そこまでわかっていることを話しても、女性は黙したまま語りません。どうやら追加の調査を行って、さらに情報を補強してから来る必要がありそうでした*1。そこで、ご両親、もしくはお母さんを女性の部屋に泊まらせてもらうことにしました*2。女性からは承諾を得られたので、お母さんに泊まっていただくことにして、わたしは追加調査のために東京に戻ることにしました。
時系列での整理
現在進行中の状況と、過去の調査をごっちゃに書いてしまったため、いささか混乱した日誌になってしまいました。そこで一度、時系列での出来事整理をしておこうと思います。
- http://d.hatena.ne.jp/Detective/20041013#p1
- 失踪人探しの依頼。部屋に残されていたPCの調査を開始する
- http://d.hatena.ne.jp/Detective/20041018
- 最初の札幌出張。時計台などを頼りに失踪した女性を捜すが、時計台前で発見。尾行し、現在居住しているとおぼしきところを見つける
ここまでは日誌に記録していたところです。